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ああ、この企業はちゃんと生まれてくる子供達の事も考えてくれてるんだわあ。偉いわねえ。いい会社ねえ。こういう会社と取引しなきゃいけないわよねえ。」
「納得出来ません!!」
机を叩いて怒りを主張する労働基準監督官。
「しかし、しょうがないだろう。国の方針なんだ。」
宥める上司。
サラリーマンの扶養控除廃止。所得税の大幅アップ。社会保険料の大幅な引き上げ。今労働者は空前絶後の危機に晒されていた。
「何故ですか?労働基準監督署は労働者の味方な筈じゃ無かったんですか?」
「我々の仕事は、使用者から労働者を守ることなんだ。国からじゃ、無い。」
そう言いつつ目を反らす上司。
「そんな・・・。」
数日の煩悶の後、彼女はついに立ち上がる!
「決めました。私・・・行きます!!」
「行くって、君、何処へだね?」
決意を込めた表情で顔を上げる労働基準監督官。
「厚生労働省労働基準局!!」
「・・・直訴・・・か?そんな・・無茶だ。」
「やってみなくちゃ、解りません。私、行きます!」
「君、早まるな!」
差し出した辞表を破り捨て聞かなかった事にしようとする上司。
「だって。そんな。どうすれば・・・。」
謎の声:「待ちたまえ!私も同行しよう。」
一同:「誰??」
ドアを開けて現れる男。
「あ、貴方は・・・。」
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